「B型作業所の工賃だけでは、とても一人暮らしなんてできない」——そう感じていませんか。
B型作業所の工賃のみで生活ができるかというと、難しいです。
理由は、B型作業所の工賃は低い水準にとどまっているためです。
厚生労働省の「令和6年度工賃(賃金)の実績について」によると、就労継続支援B型事業所の全国平均工賃は月額24,141円です。
工賃額は事業所や利用日数などによって異なりますが、平均額だけで家賃や食費、光熱費などをすべてまかなうことは難しい場合が多いでしょう。
筆者筆者自身も現在B型作業所に通っており、過去にはB型作業所を利用しながら生活保護を受給していた経験があります。
その経験もふまえ、今回は活用できる制度などについて紹介します。
この記事を参考にB型作業所に通いながら一人暮らしができる環境について学んでいきましょう。
B型作業所の工賃だけでは生活できないって本当?

結論からいうと、B型作業所の工賃だけで一人暮らしに必要な費用をまかなうことは、一般的には難しいと考えられます。
ただし、必要な生活費は住んでいる地域や家賃、世帯構成などによって異なります。家族からの援助や障害年金など、ほかの収入がある場合は、生活を成り立たせられることもあります。
筆者A型作業所では最低賃金が保証されていますが、B型作業所の工賃には最低賃金の保証の適用はされません。
実際に私も現在B型作業所に通っており、工賃は月額30,000円前後です。
他のB型作業所の平均工賃も確認しましたが、ほとんどが10,000~30,000円であることを知りました。
この金額では、実家暮らしは可能ですが、一人暮らしを考えているのであれば、とても生活できません。
筆者それならばA型作業所を、と考える人もいるかもしれません。
しかし、A型作業所は雇用契約を結ぶことで働くことができるため、体調などの理由から、B型作業所のみが選択できる人にとっては、A型作業所の利用は難しいでしょう。
実際に私もかつてはA型作業所に通所していましたが、体調が整わないまま働いたため、長続きしませんでした。このことから、事情のある人にとってはA型作業所で働くことも難しいです。
そのため、B型作業所に通うのであれば、ほかにも活用できる制度を利用しないと生活ができないことがわかります。
ですが、B型作業所に通うことは悪いことではありません。
筆者まずは働ける環境を整えることが重要だからです。
自分のせいでB型作業所に通うしかできないと思い込んではいけません。
B型作業所を利用しながら生活保護は受けられる?

結論からいうと、B型作業所を利用しながら生活保護を受けることはできます。
筆者実際に私も、過去にB型作業所へ通いながら生活保護を受給していました。
しかし、簡単に生活保護を受給しながらB型作業所に通所していたわけではありません。
生活保護を受ける以上守らなくてはいけないルールなどがあります。
筆者以下の内容を順に説明しますね。
- 生活保護との併用のルール
- 働いていても受けられる理由
- 工賃の収入認定
生活保護とB型作業所は併用できる!ルールは?
生活保護とB型作業所の利用は併用できます。
併用するにあたり、まずは担当のケースワーカーに相談しましょう。なぜケースワーカーに相談が必要かというと、B型作業所に通所するにあたって工賃が発生するからです。
後述しますが、B型作業所に通所した際の工賃は収入に分類されます。
そのため場合によっては、生活保護の支給額が減額となる可能性があります。
筆者減額の恐れがあるからと言って、B型作業所に通所していることを隠す人もいますが、それは間違いです。
収入を申告しなかった場合、受け取り過ぎた保護費の返還や徴収を求められることがあります。故意に収入を隠すなど悪質なケースでは、より厳しい対応を受ける可能性もあります。
ただし、申告漏れがあったからといって、直ちに今後一切生活保護を受けられなくなるわけではありません。
筆者申告漏れに気づいた場合は放置せず、速やかに担当ケースワーカーへ相談しましょう。
また工賃や障害年金などを含む世帯収入が増えれば、保護費が調整されたり、収入額によっては保護が停止・廃止されたりする場合があります。
「働いているから生活保護は無理」は間違い
「生活保護は、働いていると受給できない」。このような情報を見聞きすることがありますが、それは正しくありません。
生活保護を受給できるかどうかは、働いているかだけで決まるものではありません。
世帯の収入や資産などを活用しても、国が定める最低生活費に満たない場合は、働いていても生活保護を受給できる可能性があります。
生活保護費は、原則として最低生活費から世帯の収入として認定される金額を差し引き、不足する分が支給されます。
たとえば、働いて収入を得ていたとしても、その収入だけでは家賃や食費、光熱費などをまかなえず、最低生活費を下回っている場合は、生活保護の対象となることがあります。
筆者また、給与収入のすべてがそのまま差し引かれるわけではありません。
税金や社会保険料、通勤費などの必要経費のほか、一定の勤労控除が認められる場合があります。
一方で、預貯金や手持ちのお金、活用できる資産がある場合は、原則として先に生活費へ充てることが求められます。
ただし、受給できるかどうかは預貯金の金額だけで決まるものではなく、世帯構成や収入、資産、生活状況などを踏まえて総合的に判断されます。
そのため、「働いているから申請できない」「少しでも収入があれば受給できない」と、自分で判断して諦める必要はありません。
筆者実際に働きながら、不足する生活費について生活保護を受給している人もいます。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を支援するための制度です。
働いていたとしても、収入だけでは最低限の生活を維持できない場合は、申請し、条件を満たすことで保護を受けられます。
このことから、B型作業所に通所し、工賃を受け取っているからといって、生活保護を受給できないとは限りません。
自分が対象になるか分からない場合は、住んでいる地域を管轄する福祉事務所へ相談しましょう。
工賃がある場合の収入認定とは?
B型作業所に通所が決まった場合、そこで支給される工賃は収入と認定されます。
筆者そのため、収入の申告の際は必ず、工賃額を申請する必要が出てきます。
しかし、B型作業所に通所した工賃のすべてが収入として扱われるとは限りません。収入扱いになる工賃ですが、一定額は控除が適用されます。
B型作業所の工賃は収入申告の対象ですが、受け取った工賃の全額がそのまま保護費から差し引かれるとは限りません。
勤労収入には、働くために必要となった交通費などの必要経費や、一定の勤労控除が認められる場合があります(
実際に収入として認定される金額は、工賃額や必要経費、世帯状況などによって異なります。
工賃だけで生活できない時に使える他の制度

生活保護が活用できない場合、ほかの制度が使えないかを考える人は多いでしょう。
B型作業所に通所していることから、「働いているため、生活保護を受給することは難しいのではないか」と感じる人も少なくありません。
しかし、活用できる制度は生活保護だけではありません。
筆者主な選択肢として、次のような制度や働き方があります。
| 制度・選択肢 | 主な内容 |
|---|---|
| 障害年金 | 障害の状態や初診日、保険料の納付状況などの条件を満たす場合に受給できる可能性がある |
| 自立支援医療 | 指定した医療機関や薬局での自己負担を原則1割に軽減できる |
| A型事業所 | 雇用契約を結んで働くため、最低賃金が適用される |
| 在宅ワーク | 通勤による負担を減らし、自宅で働ける場合がある |
ここでは、障害年金・自立支援医療・A型事業所や在宅ワークなど、生活保護以外に活用できる制度について紹介していきます。
障害年金との併用
私のケースですが、生活保護の受給を検討する前に、「障害年金を申請してみては」と提案を受けました。
当時は失業保険を受給していましたが、あと数か月で受給期間が切れる予定でした。
そのため、生活保護に加え、ほかに活用できる制度はないか福祉事務所の担当者と相談することになったのです。
筆者相談の中で確認されたのは、次の2点です。
- 当時の障害者手帳は3級であること
- 初診日が厚生年金の加入期間中ではないかということ
厚生年金の加入期間中に初診日があるのであれば、障害厚生年金を受給できる可能性があると教えられました。
筆者そこで主治医に相談し、障害年金の申請を行うことを決めました。
ちなみに障害年金の申請から結果が出るまでには数か月かかるため、受給できる可能性がある場合は、早めに申請手続きをすることをおすすめします。
幸い私は、受給決定まで生活できるだけのたくわえがあったため何とかなりました。
しかし、たくわえに不安がある人は、生活保護の申請前に年金事務所などへ相談するようにしましょう。
筆者相談する際は、次の点も確認しておくことが大切です。
- 障害年金を受給できる可能性があるか
- 申請に必要な書類は何か
- 初診日を証明できるか
- 遡及請求ができるか
障害認定日による請求が認められた場合は、時効により最大5年分を上限として、過去の年金がまとめて支給されることがあります。
そのお金があるうちに福祉事務所や各自治体へ相談し、今後の生活について決めるのがベストです。
遡及が認められるのは原則として最大5年分で、認定されるかどうかは、初診日や納付要件などの個別事情によります。
詳しい条件は、日本年金機構の「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」を確認してください。
自立支援医療など医療費の負担軽減制度
生活保護を受給する前に活用できる制度として、医療費の削減につながる自立支援医療があげられます。
自立支援医療のうち精神通院医療は、あらかじめ指定した医療機関や薬局における対象医療について、自己負担を原則1割に軽減する制度です。
筆者制度の主なポイントは、次のとおりです。
- 医療費の自己負担が原則1割になる
- あらかじめ指定した医療機関や薬局で利用する
- 所得区分に応じて、月額の自己負担上限が設けられる
- 申請には主治医の診断書などが必要になる場合がある
医療費は、生活費の中でも高額になるケースが多いため、削減できるときは削減したいものです。
私も最初は制度を知りませんでしたが、かかりつけ医から紹介を受け、受付の方に申請方法を聞いて手続きを行いました。
無事に申請が通り、メンタルクリニックと提携先の薬局での自己負担額が1割となったことで、生活に多少の余裕ができました。
自立支援医療は、あらかじめ指定した医療機関・薬局での利用に限られ、所得区分に応じて月額の自己負担上限があります。
生活保護を受給する前でも活用できる可能性があるため、申請できるかどうかや、申請に必要なものについて主治医などに確認しましょう。
在宅ワーク・A型事業所へのステップアップ
体調などにゆとりがある場合は、B型作業所への通所を検討する前に、在宅ワークやA型事業所の利用を検討してみるのも一つの方法です。
筆者私も現在のB型作業所へ通う前は、A型事業所を利用していました。
結果として体調がついていかず、B型作業所に通所することになりましたが、無理なく通えるのであればA型事業所をおすすめします。
筆者B型事業所・A型事業所・在宅ワークの主な違いは、次のとおりです。
| 働き方 | 主な特徴 |
|---|---|
| B型事業所 | 雇用契約を結ばず、体調や能力に合わせて作業を行う |
| A型事業所 | 雇用契約を結んで働き、最低賃金が適用される |
| 在宅ワーク | 自宅で働けるため、通勤による負担を減らせる |
A型事業所では利用者と事業所が雇用契約を結ぶため、原則として最低賃金が適用されます。
一方、B型事業所では雇用契約を結ばないため、工賃に最低賃金は適用されません。
A型・B型事業所の制度上の違いについては、厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」でも確認できます。
そのため、体調や勤務条件に問題がなく利用できるのであれば、選択肢の一つとして検討するとよいでしょう。
また、在宅ワークに切り替えることで、通勤による負担を抑えながら働ける場合があります。
以前は在宅ワークの選択肢が少なかったものの、コロナ禍以降は在宅で働ける仕事が増えてきました。
筆者在宅であれば、自分の体調や生活状況に合わせて働ける可能性があります。
生活保護を受給する前に、無理なく取り組める在宅ワークがないか探してみるのもおすすめです。
生活保護を申請する前に確認すべきこと

生活保護の申請前には、自身の所持している資産など、確認しておくべきことがたくさんあります。
筆者ここでは申請前に準備しておきたいことなどについて紹介していきます。
申請前に準備しておきたい書類・情報
生活保護を申請するにあたり、前もって書類等を準備をしておかないと何度も福祉事務所に足を運ぶことになります。
私も、申請にあたって事前に準備をしていませんでしたが、別の手続きで必要な書類などをたまたま所持していたため、申請手続きがスムーズにいきました。
もし、所持していなければ数回福祉事務所に行くことになっていました。
ここでは簡単に生活保護申請にあたり、最低限必要な書類を箇条書きでまとめていきます。
- 本人確認書類(障害者手帳や免許証、マイナンバーなど)
- 預金通帳(メインで使用している通帳だけではなく、所持している通帳全部)
- 収入や資産がわかる書類
また、持っていれば役に立つ書類として、現在の生活状況や障害の程度などをまとめたメモなどもあったほうが良いでしょう。
ケースワーカーとのやり取りで注意すべき点
ケースワーカーとやり取りをするにあたり、大切なのは嘘偽りなく自身の状況を申告することだと思います。
生活保護を受給するにあたってメリットとなることは積極的に話したいですが、デメリットとなる点は隠しておきたいと思う人は多いでしょう。
筆者デメリットを申告することで生活保護の不正受給を未然に防ぐことになります。
もし、申告していないために不正受給扱いとなると、今後生活保護を受給できなくなることも。
一人で進めると失敗しやすいポイント【筆者の体験談】
生活保護の申請方法や受給条件がわからないときは、一人で判断せず、福祉事務所などの公的な窓口へ相談することが大切です。
生活保護について詳しく理解していなくても、相談や申請は可能◎
生活保護の申請は国民の権利であり、生活に困っている場合は、必要な書類や申請方法がわからない段階でも相談できます。
筆者私も最初は生活保護について何も知りませんでした。
私はインターネットで情報を集めたのですが、有益な情報もあればネガティブな情報もあり、どれを信じていいのかわからなかったです。
そこでまず、自分で情報を集めるにあたり、一つの記事だけでなく複数の記事を調べ、どの記事でも説明されている項目をメモに取るようにしました。
筆者そうすることで、最低限押さえておくべきポイントを知ることができました。
ネット記事を調べただけでは不十分かと思い、福祉事務所に行く前に自治体の相談窓口を利用しました。
そこでは、より詳しく生活保護の情報を得ることができたんです。
また、ネットで得た情報をもとに質問したため、時間の短縮もできました。
このように、あらかじめ情報を整理しておくと、相談窓口で確認したいことが明確になり、話を進めやすくなる場合があります。
ただし、複数の記事に同じ内容が書かれているからといって、必ずしも正しいとは限りません。
インターネットで調べる際は、AIや個人の記事だけに頼らず、厚生労働省や自治体などが発信する公的な情報も確認しましょう。
筆者事前に十分な情報を集められなくても、生活に困っている場合は相談や申請をためらう必要はありません。
自分だけで判断することが難しいときは、お住まいの地域を管轄する福祉事務所や支援窓口へ相談し、現在の収入や資産、生活状況を伝えたうえで、利用できる制度や手続きについて確認しましょう。
まとめ|B型作業所の工賃だけで生活が苦しいときは、早めに相談しよう

B型作業所の工賃だけで一人暮らしの生活費をまかなうことは、簡単ではありません。
生活費が不足する場合は、生活保護や障害年金、自立支援医療など、利用できる制度がないか確認することが大切です。
特に、次のような状況にある方は、一人で抱え込まず、早めに相談しましょう。
- 住まいがなく、退去日が迫っている
- 所持金が少なく、今後の生活に不安がある
- 生活保護の申請と住まい探しを同時に進めたい
- 福祉事務所へ一人で相談に行くのが不安
- 自分が利用できる制度を知りたい
生活保護支援相談所リサーチでは、現在の生活状況をお聞きしたうえで、生活保護の申請や住まい探しに関するご相談を受け付けています。
何から始めればよいかわからない場合も、まずは現在の状況をお聞かせください。
これから取れる対応を一緒に整理します。



