働いたら生活保護が止まるのではないか、少しでも収入があったら不正受給になるのではないかと不安に感じていませんか?
筆者生活保護と仕事は両立できるのか悩んでいる人は多いですが、結論からいうと条件を満たせば両立は可能です。
生活保護は働いてはいけない制度ではなく、自立を目指す制度です。
以下、わかりやすくその条件について説明していきます。

自治体の生活保護担当部署で8年間勤務。
ケースワーカーや査察指導員として多くの受給世帯の支援に携わってきた経験を、わかりやすく発信します。
生活保護と仕事は両方できる

生活保護は「働くことができない人だけが受ける制度」と思われがちですが、実際には働きながら受給することも可能です。
生活保護を受給しながら働く際に、押さえておきたい3つのポイントを解説します。
働きながら生活保護を受ける3つのポイント
- 仕事をしながら生活保護を受給できる条件
- 勤労控除を利用して賢く受給
- 世帯収入と最低生活費の関係
生活保護を受給できる条件は?
生活保護は、生活保護法という法律に基づき、生活に困っている方が最低限度の生活を送るための制度です。
しかし「誰でも申請すれば必ず受けられる」わけではありません。
筆者生活保護を受給できる条件は以下の通りです。
① 世帯収入が最低生活費を下回っていること
国が定める「最低生活費」よりも、世帯全体の収入が少ない場合に対象になります。最低生活費は、次のような条件によって異なります。
- 年齢
- 世帯人数
- 住んでいる地域(級地)
- 家賃額
たとえば単身世帯の場合は、地域にもよりますが、月10万〜13万円程度が最低生活費の一つの目安になることが多いです。
②ほかに利用できる資産がほとんどないこと
多額の預貯金や生命保険の解約返戻金、不動産を持っていないことが条件になります。
所持している自家用車について心配される方も多いと思います。
筆者原則として自家用車を所持することは不可ですが、以下の場合は認められる場合があります。
- 公共交通機関がほとんどない場所に住んでいる場合
- 就労に必要な場合
- 自身の障害や疾病上必要な場合など
➂今すぐには働けないこと(働いても最低生活費に届かないこと)
働ける状態にある場合は、就労指導が行われます。ただし、障害や疾病がある場合、高齢である場合や子育て中の場合、就職がなかなか見つからない場合などの事情があれば、無理に働くことは求められません。
勤労控除を利用して賢く受給
「勤労控除」とは、働いて得た収入の一部を「なかったことにして」計算してくれる制度のことです。
生活保護はよく「働いた分がそのまま保護費から差し引かれる」と誤解されがちですが、実際は勤労控除で引かれた分、手元に残るお金があります。
生活保護は自立を目的とした制度です。
筆者もし働いた分が全額差し引かれるなら、働く意味はほとんどなくなってしまいます。
それを防ぐために「勤労控除」という制度が設けられているのです。
生活保護で手元に残るお金の具体的な計算式は「給与収入 - 勤労控除 = 認定収入」となります。
人によって異なるため、あくまで目安ですが、5万円 ほどの収入があった場合でも、勤労控除された分、約3万8千円前後が認定収入となります。
よって、残りの1万2千円前後が手元に残ります。
世帯年収で見られる最低生活費
生活保護制度では、「世帯単位の原則」が採用されています。
たとえば、夫が働いている、妻は無職、子どもが1人おりアルバイトをしているといった場合、世帯全体の収入(=世帯年収)で判断されます。
つまり、世帯全体の収入 < 世帯の最低生活費であれば、その差額が保護費として支給される仕組みです。
生活保護受給中に仕事を始めたい!手続きと注意点

生活保護を受けながら仕事を始める場合は、事前の相談と正確な申告が重要です。特にケースワーカーへの報告を怠らないことがポイントです。
生活保護受給しながら仕事を始める手続き方法
仕事を始める際、気を付けなければならないポイントは5つです。
仕事を探し始める段階、または面接が決まった時点で、担当のケースワーカーに相談しましょう。生活保護制度では「収入の見込み」が発生した時点で報告するのが原則です。
筆者事前に相談しておくことで、以下の点を確認できます。
- 収入がどの程度までなら継続可能か
- 社会保険加入の見込みはあるか
- 交通費や必要経費の扱い
事前に相談しておくことで、後々のトラブルを防ぐことが可能。忘れずに行いましょう。
毎月、給与明細をもとに収入申告を行います。
- 給与額(総支給額)
- 交通費の有無
- 社会保険加入の有無
- 勤務日数・時間
などをもとに「認定収入」が計算され、支給額が決まります。
申告を怠ると不正受給とみなされる可能性があるため、必ず毎月提出しましょう。
前述したように、給与収入のすべてが差し引かれるわけではありません。
「勤労控除」があるため、一部は手元に残ります。
筆者つまり、少し働く程度であれば手取りは増える仕組みです。
勤務時間や収入によっては社会保険に加入する場合があります。
筆者その場合、健康保険証の切り替えや医療扶助との併用、保険料の扱いなどについて保護課への確認が必要です。
なお、社会保険に加入しても、収入が最低生活費を超えない限り、すぐに保護が打ち切られるわけではありません。
収入が最低生活費を上回ると、一時的な場合は保護停止に、継続的な場合は保護廃止になります。
収入が減れば再開できる場合もあります。
いくらまで働けるのかは、自己判断せず、必ずケースワーカーに相談しましょう。
ケースワーカーへの報告を忘れずに
ケースワーカーには収入を正しく報告しましょう。虚偽の報告が判明した場合は、生活保護の打ち切りや返還金が発生する場合もあります。
報告に関しては、収入申告書(保護課でもらえます)、給与明細、雇用契約書などが必要となります。
筆者事前に必要な書類を聞いておくとよいでしょう。
生活保護をしながら仕事する場合のよくあるトラブル
収入申告の漏れや勤労控除の誤解、社会保険加入時の手続きミスなどがトラブルとして多く見られます。
収入申告を忘れてしまう
前述したように収入申告を正しく行わない場合、保護が打ち切られる恐れがあります。
社会保険加入時の手続きで混乱する
社会保険に加入すると、健康保険証の切り替えが必要になります。
保護を受給していることが職場にバレてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
以下よくある質問の「職場にバレる危険性は?」で詳しく解説します。
勤労控除の仕組みを誤解している
働きすぎて収入が「最低生活費」を超えてしまった場合、保護の支給は止まります。
無理をして体調が悪化してしまう。
生活保護は自立を目指す制度ですが、無理をして体調を崩してしまっては本末転倒です。
特にうつ病や精神疾患がある場合、「短時間勤務から始める」「週3日から始める」など段階的な就労が重要です。
通院している方は主治医と、そうでない方もケースワーカーと相談して勤務時間・日数を調整しましょう。
生活保護受給中に仕事をしたい|よくある質問

生活保護と仕事の両立に関して、よくある疑問をまとめています。
職場にバレる危険性は?
福祉事務所(保護課)のケースワーカーには、秘密をもらしてはならないという守秘義務が課せられているため、自ら申告しない限り、職場にバレる可能性は低いです。
筆者バレるとすれば、以下の場合でしょう。
①社会保険加入時
社会保険に加入するときには、国民健康保険からの切り替えのため、国民健康保険被保険者証の提出を求められます。その際、生活保護受給中は保険証がないため、保護を受給していることがわかってしまう可能性があります。
働く場合は、社会保険に加入しない程度の収入に抑える必要があります。
②不正受給した場合
収入があるのにも関わらず、それを申告しなかったり、低く申告したりした場合には、職場に照会の電話がかかってくる可能性があります。収入は過不足なく申告するようにしましょう。
社会保険に加入できる?
条件を満たせば、社会保険に加入することができます。
その際、医療費のうち7割は健康保険から、3割は医療扶助で賄われます。
どれだけ働くと受給額が減るの?
給付額=世帯の保護基準額-(働いて得た給料―{基礎控除―必要経費})が計算式です。
地域や世帯の構成、障害者加算・住宅扶助・母子加算などで金額は変わってくるため、一度担当のケースワーカーに相談することをオススメします。
貯金があると受給できない?
一定以上の貯金(預貯金)があると、生活保護は原則受給できません。
しかし「1円でもあればダメ」というわけではありません。
たとえば、生活準備金として10万~20万円程度なら許容されるケースが多いです。また、就職のための準備資金、引っ越し費用、医療費の備えなど用途によっては貯金ができる場合もあります。
退職金の残りや失業保険と一緒に生活保護をもらえる?
退職金の残りがある間は、原則すぐに生活保護は受けられません。明確な金額基準はありませんが、数十万円以上残っていると開始は難しいことが多いです。
また、失業保険に関しては、失業保険は「収入」として扱われるため、差額を支給する形になります。仮に、最低生活費が13万円で失業保険が7万円だとすれば、保護費は6万円になります。
仕事に必要なものを生活保護費で買える?
はい。スーツや靴、通勤カバンなどが「就職支度費」から購入出来る可能性があります。支給金額は32,000円以内となっています。
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生活保護に関する不安や悩みは一人で抱え込まず、専門の相談窓口を活用することが大切です。
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