生活保護は仕事しながらが最強?注意点や実際のモデルケースをわかりやすく解説

「生活保護を受けながら働くことはできるのか」

「仕事しながら受給するのは違法ではないのか」

不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

インターネットでは「生活保護×仕事が最強」といった言葉を見かけることもありますが、制度を正しく理解しないと違法になってしまう可能性もあります。

この記事では、生活保護を受けながら働く仕組みや「最強」と言われる理由、注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。

筆者

結論から言うと、生活保護は働きながら受給することが可能です。

一定の条件のもとでは、働いた収入がすべて差し引かれるわけではなく、生活を安定させながら自立を目指すこともできます。

制度を正しく理解することで、今後の生活や自立に向けた選択を考える際のヒントになればと思います。

筆者
ライター

自治体の生活保護担当部署で8年間勤務。

ケースワーカーや査察指導員として多くの受給世帯の支援に携わってきた経験を、わかりやすく発信します。

目次

結論|生活保護は仕事しながらでも受給できる

 結論から言いますと、生活保護を受けながら仕事をすることは可能です。

 生活保護はそもそも「自立をめざす」制度。仕事や手当、年金など、使えるモノ(能力や制度、サービス)はすべて使って、自分の力で生活ができることをめざしていきます。

 

 このように、生活保護を受けている間に仕事をすることは、むしろ望ましいことなのです。逆に、健康で働けるのに仕事をしない、探さないと、ケースワーカー(市役所の担当者)から「指導」が入り、従わなければ生活保護が打ち切られてしまうこともあります。

筆者

「今やっている仕事を続けながら、これから生活保護を受ける」これももちろん可能です。

生活保護を受けられるか(開始決定が下りるか)どうかのもっとも重要なポイントは「生活保護の基準より収入が少ないかどうか」であって、申請するときに仕事をしているかいないかは関係ないのです。

 ※「生活保護の基準」は年齢、世帯人数、障害の有無や地域などによって異なります。

仕事しながら生活保護が「最強」と言われる理由

 では実際、生活保護を受けながら仕事をすることにはどんなメリットがあるのでしょうか。

 ここで、現在生活保護を受けている二人を比較してみましょう。

 (今回の金額はあくまで例です)

Aさん一人暮らし、生活保護の基準12万円、収入なし
Bさん一人暮らし、生活保護の基準12万円、給料100,000円/月
筆者

二人とも「生活保護の保護の基準」は12万円で同じです。

 

 Aさんには何も収入がないので、「生活保護の基準」と同額の12万円が生活保護費として毎月支給されます。

 

 ではBさんは?

 収入がある場合、足りない分だけが生活保護費として支給される仕組みです。

 とすると、 保護の基準120,000円-給料100,000円=20,000円が支給されるのでしょうか? これ、私がBさんなら「どうせ引かれるなら働かないほうがマシかな」と思ってしまいそうです……。

筆者

そこで登場するのが「基礎控除」です。

 生活保護制度では、給料(就労収入)まるまるを収入として見るのではなく、一部を「なかったこと」にしてくれます。

この「基礎控除」は給料や人数(世帯で何人が働いているか)によって異なりますが、Aさんの場合、120,000円のうち28,400円が「なかったこと」になるのです。

 と、いうことは

Aさんに支給される保護費は、保護の基準120,000円-(給料100,000円-基礎控除28,400円)=48,400円

となります。

 つまりAさんは、自分で稼いだお給料100,000円と保護費48,400円、合計148,400円で生活ができるのです。仕事をしていないAさんと比べると少しだけ使えるお金が増えますね。これなら仕事にもやる気が出ます。

 この控除こそが「最強」のゆえんなわけです。

生活保護を受けながら働くのは違法ではない?

 「生活保護を受けながら仕事をしてる! 違法だ! 不正受給だ!」と耳にすることもありますが

 これまでご説明した通り、これは誤解です。

筆者

 よく誤解される「不正受給」ですが、これは役所に嘘をついて保護費をもらっていた、という状況です。

先ほどの「基礎控除」のようにメリットはあるものの、仕事をしているといくらかは保護費から差し引かれてしまうわけですから、仕事をしていることを役所に黙っている人もたまにいるわけです。

 例えばこんなケースもあります。

自治体に黙っていたケース

  • 市役所に隠れて仕事をしていた。
  • 月10万円稼いでいるところを、役所には月5万円だと伝えていた。

 

 自分の収入を少なく偽って、本来貰えないはずの保護費までもらおうとしているわけですね。大変悪いことです。

 この不正受給をすると、不正にもらっていた保護費の全額(上乗せされる場合も)を市役所に返さないといけなくなります(生活保護法第78条)。

その上悪質と判断された場合は保護の打ち切り、場合によっては告訴の対象となりますのでご注意ください。

筆者

ちなみに……不正受給はバレます。

 「課税調査」と呼ばれる税の調査(一番発覚が多いです)のほか、金融機関等への調査(生活保護法第29条)、近隣住民や知人からの通報(ホットライン)など、さまざまなきっかけで判明します。

仕事×生活保護を受ける際の注意点

何より大切なのは「きちんと市役所に申告をすること」です。

 

筆者

市役所にある「収入申告書」を、給与明細と併せて毎月担当ケースワーカーに提出してください。

書き方がわからない、給与明細が出ない、これって経費になる? など、不明点は担当が相談に乗ってくれます。

とにかく嘘をつかず、正しく申告しようとする姿勢が大切です。

収入申告だけにかかわらず、担当ケースワーカーから好印象を持たれることは生活保護を受給するうえでご自身のメリットにもなり得ます。

生活保護を受けながらのおすすめの働き方

生活保護の目的は「自立」です。

そのため、無理なく働きながら収入を増やしていく働き方が理想です。

働き方①短時間のアルバイト 

ブランクが長い方や就労経験がない方は、まずは短時間のアルバイトから始めてみるのがおすすめです。

職場の雰囲気や仕事内容が合うようなら、徐々にシフトを増やしていくのがよいでしょう。

働き方②体調に合わせたパート勤務

ご病気や障害で長時間勤務が難しい場合は、パートタイムでの勤務を考慮に入れてみましょう。

職場での配慮が必要な場合は、応募時や面接時にあらかじめ伝えておくことが必要です。

働き方③在宅ワークなどの柔軟な働き方 

子育てや介護などで働きに出ることができない場合は在宅ワークがおすすめです。昨今増えつつあるリモートワークが可能な会社に応募してみるもの一つです。

ちなみに、よほど高額(資産価値が大きい)なものでない限り、仕事や学習で使用するパソコンは所持していても問題はありません

 

 「仕事が見つからない」、「障害があるのでいきなり一般就労はちょっと……」などお仕事に不安があるときは、支援を受けられる事業や福祉サービスがたくさんあります。
まずは担当ケースワーカーに相談してみましょう。

仕事×生活保護を受けているケースを紹介

※保護の基準は東京23区を想定しています。

①保険外交員で月収25万円、3人の子を育てるシングルマザーのケース

 45歳、シングルマザーのAさんは、3人の子を育てながら保険外交員(派遣職員)として働いています。

8年前、育児と仕事の両立が難しく、外交員としての収入が月数万円程度と少なかったことから生活保護を受け始めました。

 その後、3人の子どもたちが中学生、高校生と成長したため、Aさんは徐々に勤務時間を増やし、現在は月25万円程度を稼いでいます。

 Aさんは、「もう少し稼ぎを増やし生活保護から自立したい」と日々頑張っておられます。

 

 Aさんの収入は月25万円、生活保護とは無縁のように思えますが、Aさん世帯の場合は母子加算(シングルマザーのため)や児童養育加算が算定されることにより「保護の基準」が高くなります。

※以下の部分もう少し読みやすく表などにまとめる予定です

<Aさん世帯の構成>

世帯主:Aさん(45)

子1 :Bさん(18)

子2 :Cさん(17)

子3 :Dさん(15)

<Aさん世帯の収入>

Aさんの就労収入:250,000円/月

児童手当(3人):50,000円/月

収入合計    :(250,000円-基礎控除38,000円)+50,000円=262,000円…①

<生活保護の基準(最低生活費)>※医療費等を除く

生活扶助(加算除く):174,148円

母子加算      :26,500円

児童養育加算    :30,570円

住宅扶助      :69,800円

教育扶助      :5,300円

生業扶助(高校)  :14,600円

最低生活費     :320,918円…②

①<②

 このように、「それなりに稼ぎはあるが生活保護が必要な家庭」もあります。

②パート就労で月収約16万円、一人暮らしの男性のケース

 40歳男性のBさんは精神疾患があり、精神保健福祉手帳3級の交付を受けています。

 生活保護から自立したい気持ちが強くパート就労を頑張っているものの、病気の関係で現在の月163,000円以上に増収することがなかなか難しい状況です。

 Bさんの生活保護の基準は130,410円です。(生活扶助73,110円、住宅扶助57,300円)

 支給額は、保護の基準130,410円-(パート収入163,000円-基礎30,000円)=-2,590円

 支給額がマイナス? これでは生活保護は受けられないのでは、と思われるかも知れませんが、Bさんのように、保護の基準を超過した2,590円(自己負担金と言います)を医療費の一部として自分で病院に支払うことで生活保護を受けている方もいます。

 生活保護を受けているが現金での保護費支給はない、けれど医療費、介護サービス利用料は生活保護から出ているというケースです。一見、生活保護を受けているメリットはあるのか? と感じますが、端的に言うと保護を受けることで「支払う医療費や介護費が少なくなる」という状況です。

筆者

結構ややこしい仕組みですので、直接役所の窓口で聞いてみるのがベストです。

③ある月は月収30万、ある月は月収0円…収入に波のある単身女性のケース

 Cさんは飲食店でアルバイトをしながら生活保護を受け、一人暮らしをしている30代女性です。

 Cさんは精神疾患をお持ちで、体調に波があり、頑張りすぎてしまう時期とまったく働けなくなる時期があります。そのため、「先月30万円稼いだが今月は0円で……」と収入にも大きな波があります。

 このことにより、継続して生活保護を受けているものの、Cさんには「保護費が支給される月(たくさん稼いだ時)」と「保護費が支給されない月(稼ぎがない時)」があります。

 このように、ひと月だけたくさん稼いだからいきなり保護を切られてしまう、ということはありません。仕事を安定して続けていけそうか、ご本人と担当ケースワーカーで話し合いながら決めていくことだからです。

④自営業の高齢夫婦のケース

 70歳代二人暮らしのDさん、Eさん夫婦は、夫Dさん名義の持ち家に住み、長年建具屋として自営業を営んできました。

需要が減ったことやDさんのご病気により自営収入は現在月3万円程度です。二人とも年金を掛けておらず受給権がないため、生活保護を受けながら生活をされています。

 Dさん名義の持ち家については、生活保護開始時の審査で「処分価値が低い」と判断されたため、引き続き持ち家に住みながら保護を受けられています。

 

 持ち家については、保護を受ける本人が住んでいること、処分価値が極端に大きくないことなど、条件を満たせば住み続けながら保護を受けることができます。

 よく、「持ち家があるから保護を受けられないと思った」と誤解されている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。

生活保護でのお困りごとは、株式会社リサーチがサポートします

「市役所に行っても申請を受け付けてくれないと聞いたけど……」、「自分の状況をうまく話せるか不安」など、生活保護申請についてのお困りごとはございませんか?

 株式会社リサーチでは、生活保護申請のサポートから、住居、食事、就職の支援まで、あなたの生活の安定、再建を全力でサポートいたします。

「こんなことを相談してもいいのかな」など、どんな些細なお困りごとでも構いません。

まずはお気軽にご連絡ください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次